こんにちは、長井 達也です。
今回は、「着物通販・和装小物のネットショップ開業ガイド!呉服のEC通販サイト開設比較」について解説いたします。
呉服業界は斜陽産業とも呼ばれ、生き残りをかけてネット通販に挑戦する事業者も増えています。
もっとも、少子高齢化が進む中、日本の人口減少に伴い、着物文化や技術の伝承を守るためには海外市場への販路拡大も不可欠かもしれません。
しかし、「ネット通販を開始したいけど、パソコンは詳しくない」とか、「外国向けにネット通販を始めたいけど方法がわからない」といった悩みを抱える事業者も少なくないと思います。
確かに、海外に向けてネットショップを開設する際、言葉の壁や何から始めれば良いか迷うこともありますよね。
そこで、今回は実店舗で着物を販売している方や、これから着物や和装小物のネットショップを開設したい方を対象に、
- 着物通販(呉服)のネットショップ現状
- 着物通販(呉服)のネットショップ開業方法
- 着物通販(呉服)の海外展開
について分かりやすく解説していきますので、ぜひご参考にしてください!
ECとは?
またECサイトとはWEB上で商品の販売が行われるサイト、つまりネットショップの事を指します。
着物通販のネットショップ現状
ハレの日の定番として定着していた呉服は、アパレル全体の中でも特にコロナの影響を受ける事となった業界です。
お宮参り、七五三、卒園・卒業式、成人式など定番行事が軒並み中止や規模縮小に追い込まれています。
さらに観光地におけるレンタル着物の需要まで喪失しています。
そこで着物業界各社生き残りをかけて取り組もうとしているのが、販売チャネルの増加です。
着物といえば、店頭販売や催事販売がその売上の多くをこれまで占めてきました。
そのため現時点でEC化率は10%程度と、まだまだネットショップを作成する事で着物販売を行うにはチャンスが多いジャンルと言えます。
もっとも呉服関連の市場規模は、2600億円程度と年々低下しているのも事実です。
そこで新たな市場として越境EC(海外通販)を含めた戦略も方法の1つです。
その他にも新たな需要の開拓として、コスプレ関連(著作権・意匠権の侵害に注意)等もあります。
注意ポイント
・キャラクターがプリントされている生地や素材を使った作品を販売→著作権の侵害
・自分の作品に有名ブランドのロゴマークを勝手に貼りつけ販売→商標権の侵害
・有名ブランドのデザイン(形など全体の特徴)を真似て作品を販売→意匠権の侵害
ただし越境EC(海外通販)もコスプレもそうですが、セットで考えないといけないのが着付けの問題です。
ネットショップで積極的に着物を販売するためには、着付けという言葉がなくなるような機能性進化が求められています。
越境ECとは?
越境ECとは、海外に向けて商品を販売できるネットショップの事です。
越境ECを行うには、カートの機能として多言語機能、海外向け送料設定、海外向け税率設定などが必要となります。
着物通販のネットショップ開業に必要な資格・許可
着物通販のネットショップを開設する場合、特に必要となる資格や許可はありません。
ただし個人事業主として新規に着物販売を開始したい場合には、税務署に開業届の提出が必要です。
ココに注意
古着(中古品)を取り扱う場合は、古物商許可申請が必要です。
※参照元 警視庁 古物市場主許可申請
開業届とは、個人で新たにお金を生む仕事を始めたら開業準備から1カ月以内に税務署へ提出が必要な書類になります。
着物通販のネットショップ 開業に必要な資格・許可 | 届出先 | 費用 |
---|---|---|
開業届(個人事業主) | 税務署 | 無料 |
なお個人事業主として事業を開始する際に提出が必要な開業届は、少し難しく分かりづらい書面になっています。
そこでお薦めするのが、簡単な質問に答えるだけで開業届が無料で作成出来る開業freeeです。
開業freeeなら確定申告でメリットが多い青色申告に必要な『青色申告承認申請書』も同時に作成する事が出来ます。
後はパソコンで開業届を印刷して税務署に郵送(2部郵送し、1部控え用で返却してもらいます)するだけでOKです。
※『開業届の提出を忘れていた方!』遅れてもペナルティーはないので、早めに提出を!
着物通販のネットショップ開業方法
着物通販のネットショップを開設・運営する方法として、まず2種類があります。
それはモール型とショッピングカート型です。
モール型とはAmazonや楽天市場、ヤフーショッピングなど1つのWEBサイトに複数のお店が出店しているショッピングモール型のネットショップ構築・運営サービスを言います。
一方ショッピングカート型とは、1つのお店単体のWEBサイトでネットショップが構築・運営出来るサービスを言い、base、makeshop、Shopifyなどがショッピングカート型サービスとして有名です。
モール型とショッピングカート型の違いは?
最近では初期費用0円、月額利用料も0円というショッピングカートも誕生しています。
そこでまずはネットショップの開業手段であるモール型とショッピングカート型の主な違いについて一覧にして説明します。
モール型 | ショッピングカート型 | |
出店コスト | 高い | 安い |
利益率 | 低い | 高い |
集客力 | 高い | 低い |
デザイン性 | 低い | 高い |
顧客情報の所有者 | モール運営側 | 店舗側 |
このようにモール型とショッツピングカートでは異なる特徴があります。
これらを踏まえて、貴方が着物商品をネット上で販売したい場合、モール型とショッツピングカート型、どちらで開設するのが向いてるのか判断ポイントを記載しますね。
まずは着物商品をネット上で販売する場合に、モール型が向いてる方の条件です。
モール型での出店が向いてる方
・知名度のある商材を低価格で販売可能な場合
・大量生産された商品を数多く販売したい場合
・売上金額を重視したい場合
・広告宣伝に予算を掛けられる方
続いて着物商品をネット上で販売する場合に、ショッピングカート型が向いてる方の条件です。
カート型での出店が向いてる方
・知名度のない独自商品を販売したい場合
・ハンドメイドなど大量生産できない商品を販売したい場合
・利益率を重視したい場合
・越境ECを考えている方
なお越境ECについては、楽天は2020年4月に”Rakuten Global Market”という越境ECサービスを終了させています。
またヤフーショッピングも越境ECには対応していません。
Amazonに関しては世界各地の16か所でオンライストアを運営しているため、越境ECを行う事が可能です。
次にショッピングカート型に関しては、すべてのカートで越境ECが可能というわけではありません。このあたりは後ほど詳しく記載しますね。
モール型ECサイト出店時の費用比較!
着物通販のネットショップ開業方法としてモール型を選択した場合、選択肢としてAmazonや楽天市場、ヤフーショッピングなどがあります。
そこで各モールの最安値プランで料金を比較します。
Amazon | 楽天市場 | ヤフーショップ | |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
月額費用 | 4,900円 | 19,500円 | 0円 |
販売手数料 | 8%~15% | 10%以上 | 6.5%以上 |
商品点数 | 無制限 | 5000点 | 20万点 |
出店条件 | 個人・法人 | 個人・法人 | 個人・法人 |
備考 | 販売手数料はカテゴリにより異なる | 販売手数料は利用料+決済手数料+ポイント原資他を含む。 | 販売手数料は利用料+決済手数料+ポイント原資他を含む。 |
ショッピングカート型ECサイト出店時の費用比較!
着物通販のネットショップ開業方法としてショッピングカート型を選択した場合、さらに選択肢として無料カートと有料カートの2種類があります。
無料カートとしてはbase、stores.jpなどが有名です。
また有料カートとしてmakeshop、Shopify、おちゃのこネット、カラーミーなどが有名です。
これら無料と有料での大きな違いは2点です。
注意ポイント
・無料カートは月額利用料が無料だが、販売手数料が高い。
・無料カートは原則として独自ドメインが利用出来ない。
ではこれらを踏まえて、どちらの利用が向いているのか詳しく開設します。
無料のショッピングカートが向いてる方
着物通販のネットショップ開業方法として無料カートが適しているのは、月間売上高が約20万円以下、年間240万円以下の場合です。
なぜなら月間20万円以上の売上が近い将来見込めるなら、経費の損益分岐としては有料のショッピングカートのほうがお得になるからです。
また独自ドメインを選べた方が、SEO対策や将来的に何かしらの理由で別のショッピングカートに移転したい場合なども対応しやすくなります。
BASE STORES カラーミー おちゃのこネット 初期費用 0円 0円 0円 0円 月額料金 0円 0円 0円 0円 販売手数料 6.6% +¥40 5% 6.6% + 30円 6.6%(税別) 商品点数 無制限 無制限 無制限 100点 独自ドメイン ◯ ✕ ◯ ✕
※カラーミーは独自ドメイン利用時、独自SSLでの常時SSL:月額1,100円発生します
2024年1月18日現在
有料のショッピングカートが向いてる方
着物通販のネットショップ開業方法として有料カートが適しているのは月間売上高が約20万円以上、年間240万円以上を目指されたい方です。
また一般的にデザインのカスタマイズ性が高いのは有料カートとなります。
ですから将来的に利益がでた際、WEBデザイナーさんなどにデザインを依頼してブランディングを高めたいという場合にも有料カートはオススメです。
makeshop Shopify カラーミー おちゃのこネット 初期費用 11,000円 0円 3,300円 6,600円 月額料金 12,100円 25$ 4,950円 3,300円 販売手数料 3.19%~ 3.4% 4.0%~ 3.5%(税別) 商品点数 10,000点 無制限 無制限 5,000点 独自ドメイン ◯ ◯ ◯ ◯
※上記の初期費用は、独自ドメイン利用した場合の設定費用等が含まれています。
2022年4月7日現在
お薦め第1位 makeshop
MakeShopは上場会社GMOグループの子会社が提供するショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 2種類まで |
越境EC | ☓ |
特徴としては各画面のHTML・CSSが編集する事が可能なので、プロのWEBデザイナーに制作を依頼すれば自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
またデザイン性の高いテンプレートも予め用意されているので、ホームページの作成が初心者の方でも手軽にネットショップが作成可能です。
料金体系も契約期間に応じて最大30%割引となります。
なお別サービスで越境EC機能を提供していましたが、現在は新規募集を停止中です。
お薦め第2位 おちゃのこネット
おちゃのこネットは、高機能かつ低価格なショッピングカートとして有名です。
デザインカスタマイズ | ○ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズ・男女など) | 3種類まで |
越境EC | △ |
makeshopと同様にCSSが編集可能なので、比較的自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
またデザイン性の高いテンプレートも予め用意されているので、ホームページの作成が初心者の方でも手軽にネットショップが作成可能です。
特徴としてはバリエーション登録機能が豊富です。
例えばでカラーやサイズに他に追加でバリエーションが必要な場合、おちゃのこネット一択となります。
商品点数が5000点以下でよければオススメしたいサービスです。
なお越境ECに関しては、グローバル設定という機能で言語を日本語から英語表記(多言語化は不可)に変更可能です。
また表示通貨の変更も可能です。ただし英語圏向けのサイトと、日本国内向け両方のサイトを1つのホームページで作成するという事は出来ません。
お薦め第3位 カラーミー
カラーミーショップはmakeshopと同じく上場会社GMOグループの子会社が提供するショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 2種類まで |
越境EC | ○月額5500円 1)多言語ナビゲーション |
デザインテンプレートのHTMLやCSSが編集可能なので、自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
ただしオプションの料金メニューが多く分かりづらい面もあります。
なお越境ECに関しては、「WorldShoppingBIZ for カラーミー」というアプリ(月額5500円)を追加する事で対応可能です。
内容としては、即時世界125カ国対応が可能となり、海外ユーザーからの注文受付、商品購入代行、海外配送、カスタマーサポートまでWorldShopping社が全て対応します。
そのため、ショップ様での海外対応は一切不要、システム開発や運用オペレーションの変更も必要ありません。
お薦め第4位 Shopify
Shopify はカナダ発祥、世界175か国、1,700,00店舗を有する世界最大のショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 3種類まで |
越境EC | ◎ |
ShopifyはHTMLやCSSが編集可能なので、自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
なおカラーやサイズなど3種類の組み合わせまで可能で、最大100パターンまでのバリエーション登録が可能です。
ココがポイント
例)サイズ3種類【S・M・L】 ✕ カラー3種類【赤・青・黄】 ✕ 性別2種類【男・女】だと18パターンのバリエーションという事ですね。
特徴としてはShopifyがWordPressのように拡張性に富んだサービスで、多言語展開が可能なので越境ECに挑戦したい方にはオススメのサービスと言えます。
Shopifyは、50の言語と130ヶ国以上の通貨に対応しています。
また言語に関しては、制作したECサイトをアプリを使って別の言語に自動で翻訳することも、設定画面で翻訳を直接入力することも可能です。
商品の梱包方法について
着物通販のネットショップ開設準備が整ったら、次は梱包材などの手配です。
ダンボールなどの梱包材(ダンボール・クッション材・テープなど)は、取り扱う商材によってはネットショップの利益を圧迫するものとなります。
また、ダンボールの大きさや梱包方法によって運送会社の送料も大きく変動する場合がありますので、商材にマッチした梱包材を選ばないと不要なコストが発生します。
ネットショップ開業前に適切な梱包材を用意しましょう。
商品の発送について
着物通販(呉服)のネットショップ開設前に準備が必要なのが、運送会社との契約です。
個人宅への配送業者として基本的にヤマト運輸、佐川運輸、日本郵便の3社のいずれかで行うのが一般的です。
事前に最寄りの営業所に電話して、送り状を入手しておきましょう。
なお送り状作成には印刷出力する方法と手書きの2種類あり、入手先・方法は下記の通りとなります。
プリンタを用意して、印刷出力できるように準備することがオススメです。
フィルフィメントサービスとは?
フルフィルメントサービスとは、主にネットショップの販売者向けサービスで商品の預かり保管し、梱包、発送までを代行するサービスです。
在庫を保管するスペースがない場合や人手不足、または沖縄や北海道などに拠点を構えている場合には、配送効率を考えてフルフィルメントサービスを検討する価値があります。
一般的にフルフィルメントサービスを利用した場合、独自に運送会社と契約するよりも安い運送料金が提示されます。
なおショッピングカート構築サービスの提供元よりフルフィメントサービスが提供されている場合があります。
サービス名 | 初期 費用 | 月額料金 | メール便 梱包・配送料金 | 運賃割引 | 備考欄 |
MakeShop | 0円 | 4,700円 | 490円~ | ◎ | 梱包料は配送料を含みます。 チラシ封入等も対応可 |
おちゃのこネット | 20,000円 | 3,300円 | 470円+1点10円 | ◎ | メール便は全国一律200円/個 |
確定申告
新規に個人事業主として着物通販(呉服)のネットショップを開業した場合は、確定申告が必要になります。
確定申告とは、個人事業主の方が1月1日~12月31日までの1年間の営業結果を翌年の2月16日~3月15日の間に税務署に確定申告書を提出する事を言います。
また確定申告書を作成するには会計や簿記の知識が必要になるのですが、お小遣い帳感覚で開業し店舗の確定申告の作成が可能となる、クラウド型と呼ばれる確定申告書が作成出来る会計ソフトをご紹介します。
クラウド会計ソフトとはインターネット上で入力出来るソフトの事で、特に下記はいずれも会計の知識がなくても確定申告書を作成する事が可能です。
それでは早速おススメの3社のクラウド会計ソフトを比較していきます!
料金プラン1 料金プラン2 最安値&人気No1! レシートをスマホで撮影サービス名 初期費用 0円 0円 0円 対応
・青色申告
・白色申告
・青色申告
・白色申告
・青色申告
・白色申告セルフ
年9,680円スターター
年12,936円パーソナル
年12,936円
電話サポート付
年26,400円
消費税申告するなら
年26,136円
電話サポート付
年39,336 円特徴
1年間無料!
簡単に経理処理が出来る
2023年12月値上予定
2023/10/28 現在
まとめ
以上、着物通販・和装小物のネットショップ開業ガイド!呉服のEC通販サイト開設比較はいかがでしたか?
着物に関しては国内市場が年々縮小する中、新しいマーケットとして海外通販を開始する事は1つの方法です。
ただし現実的にはコロナ化の今、物流自体も満足に稼働していない地域が多くあります。
またローカライズされた需要の掘り起こしというのも、日本国内だけで情報を集める限りむずかしいところがあります。現地バイヤーなどのコネクションも重要です。
ポイント
- 呉服関連の市場規模は2600億円程度と年々低下傾向にある。
- 呉服関連のEC化率は10%程度と、まだまだネットショップの市場規模見込みはある。
- 呉服関連の販売は日本国内だけに拘らず、また利用用途も新しい分野開拓が必要。