こんにちは、ネットショップ開業術のナガイ タツヤです。
今回は”ネットショップ事業者必須!特定商取引法に基づく表記ガイド”です。
法人・個人を問わずネットショップ事業者は、自らのサイト上に「特定商取引法」という法律に基づいた表記を行う必要があります。
そこで今回はネットショップ事業者にとって重要な特定商取引法のポイント、
- ネットショップ上に記載しなければいけない必須事項
- ネットショップの返品ガイドライン
について分かりやすく解説していきます。
[toc]
特定商取引法とは?
特定商取引法とはネットショップ事業者だけでなく、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売提供、訪問購入の6つの業務形態の事業者に対して違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とした法律になります。
類型 | 内容 |
訪問販売 | 事業者が自宅に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引。 例)新聞勧誘など |
通信販売 | 事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により商品販売等を行う取引。 例)やずや・ジャパネットたかた・その他ネットショップ全般。 なお通信販売に関してはクーリングオフ制度が適用除外となります。 |
電話勧誘販売 | 事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のこと。 |
連鎖販売取引 | 個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる取引方法。 例)Amway・NUSKINなど |
特定継続的役務提供 | 長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと 例)エステサロンなどで5万円以上の料金で1ヶ月以上(業種ごとに規定あり)の契約期間を有する場合。 |
業務提供誘引販売提供 | 仕事提供を口実に、仕事に必要な商品・資格等を販売し金銭負担させる取引のこと。 |
訪問購入 | 事業者が消費者の自宅等を訪問して、物品の購入を行う取引のこと。 例)貴金属買取など |
なおネットショップを事業者は、上記類型の中で「通信販売」に該当します。
そこでここからは”通信販売”事業に関して詳しく解説します。
特定商取引法の通信販売とは?
特定商取引法における”通信販売”とは、事業者が新聞や雑誌、インターネット等で広告し電話等の通信手段で商品などの販売を行う事を指します。
これら通信販売を行う事業者は、特定商取引法に基づき事業を行わなければいけません。
例えばネットショップを運営する事業者は、ネットショップのサイト上に”特定商取引法表示”を行う必要があります。
特定商取引法表示とは、具体的には下記の内容をネットショップのサイト上に表示しなければいけません。
特定商取引法の表示内容
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払い時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(その特約がある場合はその内容)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 申込みの有効期限があるときには、その期限
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
- 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
特定商取引法表示の解説
ヤフーショッピングや楽天市場などのモールにネットショップを開設する場合や、baseやメイクショップなどのネットショップ開設サービスを利用してネットショップを開設する場合、必ず「特定商取引法表示」の入力画面があります。
基本的には、入力画面の案内に沿って特定商取引法表示の必要事項を入力すれば問題ありません。
出典:「広告の表示(法第11条)」(消費者庁【特定商取引法ガイド】)より
なお副業で始めた方や、主婦の方がハンドメイド作品などを販売するためにネットショップを開業された際、特定商取引法への記載に躊躇するのが下記の3つだとおもいます。
特定商取引法の表示義務(一部) ・事業者の氏名(名称)
・住所
・電話番号
これらは消費者保護の観点からも、記載の省略や虚偽記載を行う事が出来ません。
しかし事業者の氏名は仕方ないにしても、住所や電話番号の表記に限っては工夫する事が可能です。
例えば電話番号については、固定電話番号でも携帯番号でも問題ありません。
例えば最近では無料の電話番号を取得する事も可能です。
またネットショップの住所については、シェアオフィスなどで登録可能なところもあるようです。
なお最近スタートしたサービスとして、DMM バーチャルオフィスがあります。
自宅とは別の住所を利用したいなどのニーズに対し、月額2,510円という低料金で利用可能です。
自宅住所を公開せず、ネットショップを開業する場合に最適なサービスではないでしょうか。
商品返品のガイドライン
次にネットショップにおける商品返品のガイドラインについてです。
まず特定商取引法に関する”通信販売”に関しては、クーリング・オフ規定がありません。
つまり消費者はネットショップで商品を購入しても、クーリング・オフする事はできません。
クーリング・オフ制度とは?
クーリング・オフ制度とは、商品を購入した場合などでも契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
そのため実際、ネットショップの特定商取引法表示のページを見ると、多くの場合は下記の様に表示しています。
お客様のご都合による返品・返金はお受けできません。不良品・品違いについては当店にて返品送料を負担し良品に交換させて頂きます。
なお1点だけ注意が必要です。
特定商取引法に定められている通信販売のルールでは、通信販売の広告(特定商取引法表示)に、消費者都合での返品の可否とその条件(返品特約)についての表示がなければ、返品の際の送料は消費者負担となりますが、商品を受け取った日を含めて8日間以内であれば返品をすることが可能とされています。
※契約の申込みの撤回または契約の解除(法第15条の3)に該当。
つまりネットショップでの購入時、消費者に対してクーリング・オフが適用されないからといって、特定商取引法表示のページの返品規定を空欄にしていると、上記が適用されてしまうということですね。
出典:「特定商取引法ガイドー広告表示」(消費者庁【特定商取引法ガイド】)より
出典:「インターネットショッピングで購入した商品はクーリング・オフできるの?」より
出典:「クーリング・オフ制度とは」(公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・)より
まとめ
以上、”ネットショップ事業者必須!特定商取引法に基づく表記ガイド”はいかがでしたか?
個人でネットショップを運営する際、特定商取引法に基づいて個人情報の開示(住所や連絡先)しないといけないので、開業をためらうという方もいると思います。
なおこれらは省略可能と記載されてるサイトもありますが、注意点があります。消費者庁の見解は下記の通りです。
注意ポイント
消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所の表示を省略することも可能です。なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法、申込みの有効期限等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
つまり要約すると、販売までに消費者に住所や連絡先を開示する必要がある事に変わりはないという事です。
また住所を私書箱で表示することは、特定商取引法の表示義務を満たすことにはならないので、あわせて注意が必要です。