こんにちは、長井達也です。
今回は、「精肉店(肉屋)のネットショップ開業ガイド!開業資格」について詳しく解説いたします。
食肉の通信販売は、昔からお中元やお歳暮などのギフト商品として非常に人気があり、その需要は年々拡大しています。
最近では自宅での食事や家庭イベントに特化した商品、例えば「すき焼き」、「モツ鍋」、「水炊き」、「BBQ」などのセット販売も注目を集めています。
また、顧客は、品質と新鮮さにこだわりながらも、手軽に肉類を購入できることを重視しています。
この傾向は、特に新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの食品購入が一層一般的になってきたことが節目となっていますね。
精肉店は、これらの需要に応えることで新たな顧客層や市場を開拓できるため、ネットショップを開業することは非常に有望なビジネスチャンスとなっています。
そこで今回は精肉店を営み、新たなマーケットを求めてネットショップを開業されたい方々に向けて、
精肉店のネットショップ販売現状
精肉店のネットショップ開業資格・運営方法
について、分かりやすく解説していきますね。
精肉店のネット販売に関する現状
![食肉のネット販売に関する現状](https://netshop-start.net/wp-content/uploads/2021/05/001191179-222_page-0001.jpg)
独立行政法人農畜産業振興機構
独立行政法人 農畜産業振興機構によれば、2020年度の上半期、食肉専門店における販売状況は、コロナの影響により内食需要が増加しましたが、大きな変動は見られませんでした。
等級別に詳細に分析すると、2~3等級の販売が量販店に奪われており、伸び悩んでいる傾向があります。一方で、4~5等級の販売は順調で、仕入価格の下落を販売価格に反映させたことや、すき焼きやしゃぶしゃぶなど、これまで外食需要が主だった商品が、内食需要として受け入れられていることが大きな要因のようです。
また、量販店(スーパーマーケットなど)においては、国産鶏肉が90%、国産豚肉が80%、和牛(4,5等級)が75%、和牛(2,3等級)が71%、輸入豚肉および輸入鶏肉がそれぞれ70%増加しています。これは、消費者が外出自粛により近隣のスーパーでの食材調達を選ぶ傾向が見られることを示唆しています。
ネットショップを開設して精肉を販売する際には、スーパーマーケットとは異なるニーズや客層に焦点を当てる必要があるのではないでしょうか。
出典:「食肉販売動向調査結果 (2021年度上半期)」
(独立行政法人農畜産業振興機構)より
精肉店(肉屋)のネットショップ開業に必要な資格・許可
すでに実店舗で食肉を販売されている方( 食肉販売業の営業許可取得)が、新たにネットショップで販売を開始する場合には特に必要となる資格や許可はありません。
なお食肉販売業の定義は、食鳥及び獣畜の肉(シカ、イノシシ、カモなどの野生鳥獣の肉を含む)を販売する事を言います。
生肉のほかに味付けした生肉、衣を付けたトンカツ材料(生)などの販売も可能です。
一方で食品衛生法の改正(2021年6月1日より)により、食肉(冷凍含む)を包装容器に入った状態で仕入れて販売する場合、食肉販売業の許可は不要となり届出のみとなりました。
※営業許可の対象業種外の事業者は、その所在等を把握するため届出制度が創設されました。
最後に個人の方が新規に仕入先を開拓し、ネットショップで食肉を販売する場合にはまずは開業届を税務署に提出する必要があります。
なお作成には簡単な質問に答えるだけで開業届が無料で作成出来る開業freeeがオススメです。
食肉販売のネットショップ 開業に必要な資格・許可 | 届出先 問い合わせ先 | 費用 |
---|---|---|
開業届(個人事業主) | 税務署 | 無料 |
食品衛生責任者 | ・保健所 (衛生監視事務所) ・食品衛生協会 | 12,000円 東京都の場合 10,500円 大阪市の場合 |
食肉販売業(法令) 販売可能な商品 | ・保健所(衛生監視事務所) | 有償 |
食肉製品製造業(法令) ・食肉製品・食肉および食肉製品を使用した惣菜 | ・保健所(衛生監視事務所) | 有償 |
食品衛生法の改正
2021年6月1日に食品衛生法の改正がなされ、新たに営業許可の取得が必要な業種の統廃合や新設がおこなわれました。
その一環として、食肉(冷凍含む)を包装容器に入った状態で仕入れて販売する場合、食肉販売業の許可は不要となり届出のみとなりました。
なお生肉以外に、食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコン)や食肉若しくは食肉製品を使用したそうざいを製造する場合には、食肉製品製造業の許可が必要です。
出典:「食品衛生法の改正について」(厚生省)より
精肉店(食肉)のネットショップ開業方法
食肉のネットショップを開設・運営する方法として、まず2種類があります。
それはモール型とショッピングカート型です。
モール型とはAmazonや楽天市場、ヤフーショッピングなど1つのWEBサイトに複数のお店が出店しているショッピングモール型のネットショップ構築・運営サービスを言います。
一方ショッピングカート型とは、1つのお店単体のWEBサイトでネットショップが構築・運営出来るサービスを言い、base、makeshop、Shopifyなどがショッピングカート型サービスとして有名です。
なお食肉のネットショップを運営する場合、「冷蔵」「チルド」「常温」のいわゆる三温度輸送が必要になります。
つまり商品ごとに「冷蔵」「チルド」「常温」の、どの温度帯に属するのか設定し、あわせてが送料設定の方法も検討が必要です。
設定例
- 例1:「冷蔵」「チルド」「常温」は同梱不可とし、すべて別口で計算
- 例2:「冷蔵」「チルド」「常温」は同梱可とし、すべて1個口で計算
- 例3:常温と冷蔵は同梱可とし、冷凍とは別口で計算
- 例4:常温と冷凍は同梱可とし、冷蔵とは別口で計算
- 例5:冷凍と冷蔵は同梱可とし、常温とは別口で計算
なお、利用されたいネットショップ開設サービスで希望通りの送料設定が出来るのかも事前に確認が必要です。
モール型とショッピングカート型の違いは?
最近では初期費用0円、月額利用料も0円というショッピングカートも誕生しています。
そこでまずはネットショップの開業手段であるモール型とショッピングカート型の主な違いについて一覧にして説明します。
モール型 | ショッピングカート型 | |
出店コスト | 高い | 安い |
利益率 | 低い | 高い |
集客力 | 高い | 低い |
デザイン性 | 低い | 高い |
顧客情報の所有者 | モール運営側 | 店舗側 |
このようにモール型とショッツピングカートでは異なる特徴があります。
これらを踏まえて、貴方が食肉をネット上で販売したい場合、モール型とショッツピングカート型、どちらで開設するのが向いてるのか判断ポイントを記載しますね。
まずは食肉をネット上で販売する場合に、モール型が向いてる方の条件です。
モール型での出店が向いてる方
・知名度のある食肉を低価格で販売可能な場合
・大量生産された食肉を数多く販売したい場合
・売上金額を重視したい場合
・広告宣伝に予算を掛けられる方
続いて食肉をネット上で販売する場合に、ショッピングカート型が向いてる方の条件です。
カート型での出店が向いてる方
・知名度のない食肉(ジビエなど)を販売したい場合
・少量多品種販売されている場合
・利益率を重視したい場合
なおオムニチャネルの導入という意味では、実店舗運営者に関わらず積極的に売上高を追求するには、モールとショッピングカートの併用運用が望ましいと言えます。
ただし最初から同時に開始するのは難しいと思いますので、まずはどちらかで開業をはじめましょう。
モール型ECサイト出店時の費用比較!
食肉のネットショップ開業方法としてモール型を選択した場合、選択肢としてAmazonや楽天市場、ヤフーショッピングなどがあります。
そこで各モールの最安値プランで料金を比較します。
Amazon | 楽天市場 | ヤフーショップ | |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
月額費用 | 4,900円 | 19,500円 | 0円 |
販売手数料 | 8%~15% | 10%以上 | 6.5%以上 |
商品点数 | 無制限 | 5000点 | 20万点 |
出店条件 | 個人・法人 | 個人・法人 | 個人・法人 |
備考 | 販売手数料はカテゴリにより異なる | 販売手数料は利用料+決済手数料+ポイント原資他を含む。 | 販売手数料は利用料+決済手数料+ポイント原資他を含む。 |
ショッピングカート型ECサイト出店時の費用比較!
食肉のネットショップ開業方法としてショッピングカート型を選択した場合、さらに選択肢として無料カートと有料カートの2種類があります。
無料カートとしてはbase、stores.jpなどが有名です。
また有料カートとしてmakeshop、Shopify、おちゃのこネット、カラーミーなどが有名です。
これら無料と有料での大きな違いは2点です。
ポイント
・月額利用料は無料だが、販売手数料が高い。
・原則として独自ドメインが利用出来ない。
ではこれらを踏まえて、どちらの利用が向いているのか詳しく開設します。
無料のショッピングカートが向いてる方
食肉のネットショップ開業方法として無料カートが適しているのは、月間売上高が約20万円以下、年間240万円以下の場合です。
なぜなら月間20万円以上の売上が近い将来見込めるなら、経費の損益分岐としては有料のショッピングカートのほうがお得になるからです。
また独自ドメインを選べた方が、SEO対策や将来的に何かしらの理由で別のショッピングカートに移転したい場合なども対応しやすくなります。
つまり気軽に食肉のネットショップを開業されたい場合に限り無料カートでも良いと思います。
BASE STORES カラーミー おちゃのこネット 初期費用 0円 0円 0円 0円 月額料金 0円 0円 0円 0円 販売手数料 6.6% +¥40 5% 6.6% + 30円 6.6%(税別) 商品点数 無制限 無制限 無制限 100点 独自ドメイン ◯ ✕ ◯ ✕
※カラーミーは独自ドメイン利用時、独自SSLでの常時SSL:月額1,100円発生します
2024年1月18日現在
有料のショッピングカートが向いてる方
食肉のネットショップ開業方法として有料カートが適しているのは月間売上高が約20万円以上、年間240万円以上を目指されたい方です。
また一般的にデザインのカスタマイズ性が高いのは有料カートとなります。
ですから将来的に利益がでた際、WEBデザイナーさんなどにデザインを依頼してブランディングを高めたいという場合にも有料カートはオススメです。
makeshop Shopify カラーミー おちゃのこネット 初期費用 11,000円 0円 3,300円 6,600円 月額料金 12,100円 25$ 4,950円 3,300円 販売手数料 3.19%~ 3.4% 4.0%~ 3.5%(税別) 商品点数 10,000点 無制限 無制限 5,000点 独自ドメイン ◯ ◯ ◯ ◯
※上記の初期費用は、独自ドメイン利用した場合の設定費用等が含まれています。
2022年4月7日現在
お薦め第1位 makeshop
MakeShopは上場会社GMOグループの子会社が提供するショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 2種類まで |
特徴としては各画面のHTML・CSSが編集する事が可能なので、プロのWEBデザイナーに制作を依頼すれば自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
またデザイン性の高いテンプレートも予め用意されているので、ホームページの作成が初心者の方でも手軽にネットショップが作成可能です。
料金体系も契約期間に応じて最大30%割引となります。
なお1つの商品に対して、歩留等級や肉質等級など2種類までバリエーション登録が可能です。
お薦め第2位 おちゃのこネット
おちゃのこネットは、高機能かつ低価格なショッピングカートとして有名です。
デザインカスタマイズ | ○ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズ・男女など) | 3種類まで |
makeshopと同様にCSSが編集可能なので、比較的自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
またデザイン性の高いテンプレートも予め用意されているので、ホームページの作成が初心者の方でも手軽にネットショップが作成可能です。
特徴としてはバリエーション登録機能が豊富です。
なお1つの商品に対して、歩留等級や肉質等級など3種類までバリエーション登録が可能です。
また商品点数が5000点以下でよければオススメしたいサービスです。
お薦め第3位 カラーミー
カラーミーショップはmakeshopと同じく上場会社GMOグループの子会社が提供するショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 2種類まで |
デザインテンプレートのHTMLやCSSが編集可能なので、自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
ただしオプションの料金メニューが多く分かりづらい面もあります。
お薦め第4位 Shopify
Shopify はカナダ発祥、世界175か国、1,700,00店舗を有する世界最大のショッピングカート構築サービスです。
デザインカスタマイズ | ◎ |
Instagram連携 | ○ |
バリエーション登録 (カラーやサイズなど) | 3種類まで |
ShopifyはHTMLやCSSが編集可能なので、自由度の高いネットショップサイトが構築できます。
なお1つの商品に対して歩留等級や肉質等級など3種類まで組み合わせが可能で、最大100パターンまでのバリエーション登録が可能です。
ココがポイント
例)サイズ3種類【S・M・L】 ✕ 部位【ロース・カルビ】だと6パターンのバリエーションという事ですね。
特徴としては、ShopifyがWordPressのように拡張性に富んだサービスで、例えば多言語展開が可能なので越境ECに挑戦したい方にはオススメのサービスと言えます。
ただし日本法人はありますが、サービス開発がカナダということもありどこまでローカライズ出来ているかというと疑問点もあります。
精肉店(肉屋)の梱包方法について
食肉のネットショップ開設準備が整ったら、次は梱包材などの手配です。
ダンボールなどの梱包材(ダンボール・クッション材・テープ・発泡スチロールなど)は、取り扱う商材によってはネットショップの利益を圧迫するものとなります。
また、ダンボールの大きさや梱包方法によって運送会社の送料も大きく変動する場合がありますので、商材にマッチした梱包材を選ばないと不要なコストが発生します。
なおダンボールにロゴマークなどを印刷したい場合には、5年連続注文件数No.1のダンボール専門の通販サイトである【ダンボールワン】がオススメです。
2万点以上の梱包材(ダンボール・緩衝材・テープ・封筒・ラッピング資材など)を販売しているほか、初期コスト無料のオリジナル印刷パッケージなども提供されています。
精肉店(肉屋)の商品発送について
ネットショップ開設前に準備が必要なのが、運送会社との契約です。
個人宅への配送業者として基本的にヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社のいずれかで行うのが一般的ですが、とくにヤマト運輸を利用されるショップが多い印象です。
事前に最寄りの営業所に電話して、送り状を入手しておきましょう。
なお送り状作成には印刷出力する方法と手書きの2種類あり、入手先・方法は下記の通りとなります。
プリンタを用意して、印刷出力できるように準備することがオススメです。
まとめ
以上、「精肉店(肉屋)のネットショップ開業ガイド!開業資格」についてはいかがでしたか?
食肉販売を行うネットショップは、どこも写真撮影に力を入れています。
しかし生のお肉を美味しそうに撮影するには、経験が必要になります。
また例えば焼肉などを調理中を撮影するには、画像編集ソフトで湯気を書き足したりします。
このような画像編集がご自身では難しい場合、フリーのデザイナーに気軽に依頼できるクラウドワークス などの活用もオススメです。
ポイント
- 精肉のネットショップでは量販店とは異なる商材がオススメ
- すき焼きや、焼肉など、調味料も含めたセットメニュー開発がオススメ。
- 年齢別に最適な部位、量などを実店舗でヒアリングして商品展開を。